おひとり様のデジタル終活|SNS・スマホ・ネット銀行の整理方法
スマホやSNS、ネット銀行はどう整理する?おひとり様が今すぐできるデジタル終活の具体的な手順をわかりやすく解説します。
デジタル資産を放置すると、何が起きるのか
「終活」というと、遺言書や葬儀の準備をイメージする方が多いかもしれません。しかし近年、見落とされがちな大切な準備があります。それがデジタル終活です。
スマートフォン、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、ネット銀行、サブスクリプション(定額サービス)——私たちの日常生活はいまや、数多くのデジタルサービスと結びついています。これらを整理しないまま亡くなると、次のような問題が起きることがあります。
- スマホがロックされていて、遺族や関係者が中の連絡先にたどり着けない
- ネット銀行の口座に預金が残っているのに、存在すら気づかれない(デジタル遺産)
- SNSのアカウントが本人が亡くなった後も生き続け、知人が困惑する
- 使っていないサブスクの料金がクレジットカードから引き落とされ続ける
おひとり様の場合、こうしたデジタル資産の存在を把握している家族がいないことが多く、放置によるリスクはさらに高まります。今のうちに整理しておくことが、自分自身と周囲への思いやりになります。
整理すべきデジタル資産の6種類
まず、自分がどんなデジタル資産を持っているかを把握しましょう。整理が必要なものは大きく6種類あります。
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| スマホ・パソコン | iPhone・Android・ノートPC・タブレット |
| SNS・コミュニケーション | LINE・Facebook・Instagram・X(旧Twitter) |
| メール | Gmail・Yahoo!メール・キャリアメール |
| ネット銀行・証券 | 楽天銀行・PayPay銀行・SBI証券など |
| サブスクリプション | Netflix・Spotify・Amazonプライム・電子書籍など |
| 写真・データ | スマホの写真・クラウドストレージ(iCloud・Googleフォトなど) |
この中で特にお金に直結するのが「ネット銀行・証券」と「サブスクリプション」です。後者は解約しないと引き落としが続くため、早めに把握しておくことが重要です。
各項目の具体的な整理方法
スマホ・パソコン
スマホのロック解除に必要なのは、暗証番号(PIN)または顔認証・指紋認証の設定情報です。亡くなった後に遺族がロックを解除しようとしても、本人以外には基本的に解除できません。
対策として、暗証番号をエンディングノート(後述)に書き留めておきましょう。なお、書き留める際は安全な場所(自宅の金庫など)に保管し、信頼できる人だけに場所を伝えておくことが重要です。
パソコンについても同様に、ログインパスワードをメモしておきましょう。
SNS・コミュニケーションアプリ
代表的なサービスごとの対応方法は以下のとおりです。
LINE LINEは、亡くなった後もアカウントはそのまま残り続けます。特別な「追悼アカウント」機能はないため、信頼できる人にIDとパスワードを伝え、アカウントを削除してもらうよう依頼しておくとよいでしょう。
Facebook Facebookには「追悼アカウント管理人」を事前に設定する機能があります。設定しておくと、死後にアカウントを追悼アカウントに変えてもらったり、削除してもらったりすることができます。設定は「設定→追悼アカウント」から行えます。
Instagram・X(旧Twitter) 遺族がアカウントの削除申請を運営会社に送ることで対応できますが、手続きに時間がかかる場合があります。パスワードを信頼できる人に伝えておくか、生前に自分で退会しておくのが確実です。
メール
メールアカウントには、各種サービスの登録情報や重要なやり取りが集まっています。メールアドレスとパスワードをエンディングノートに記録しておきましょう。
また、登録しているサービスのリストをメールの受信フォルダから確認しておくと、自分がどんなサービスに加入しているか把握しやすくなります。
ネット銀行・ネット証券
通帳がないネット銀行や、紙の取引報告書が届かないネット証券は、遺族が存在に気づかないまま休眠口座になるケースが多くあります。
対策として、以下の情報をエンディングノートに記録しておきましょう。
- 口座を持っている銀行・証券会社の名前
- ログインIDとパスワード
- おおよその残高(毎年見直す)
ただし、パスワードの扱いには注意が必要です(後述のパスワード管理の項目を参照)。
サブスクリプション
月額・年額で自動引き落としされるサービスは、解約しないと亡くなった後も請求が続きます。現在加入しているサービスを一覧にまとめておき、解約方法とあわせてエンディングノートに記録しておきましょう。
整理が難しい場合は、クレジットカードの利用明細を1〜2か月分見直すと、使っているサブスクリプションを洗い出せます。
写真・デジタルデータ
スマホの写真や動画、クラウドに保存したデータは、アカウントにアクセスできなくなると失われる可能性があります。
大切な写真は、外付けハードディスク(HDDやUSBメモリ)に定期的にバックアップを取っておきましょう。また、「この写真はどう扱ってほしいか(残したい・削除してほしい)」という希望もエンディングノートに書き添えておくと、後を任せる人が迷わずに済みます。
パスワード管理のおすすめ方法
デジタル終活で多くの方が悩むのが「パスワードをどう管理するか」という問題です。
主な方法を整理します。
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| エンディングノートに手書きで記録 | シンプルでわかりやすい | 紛失・盗難のリスクがある |
| パスワード管理アプリを使う | 一元管理できて便利 | アプリ自体のマスターパスワードを別途管理する必要がある |
| 封筒に入れて自宅の安全な場所に保管 | 物理的な安全性が高い | 火災・水害のリスクがある |
最も安全なのは、エンディングノートまたは封筒(紙)に手書きで記録し、自宅の金庫や安全な引き出しに保管する方法です。デジタルに慣れていない方にとっても、この方法がシンプルで確実です。
保管場所は信頼できる1〜2人だけに伝えておきましょう。全員に知らせる必要はありません。
注意点:パスワードを記録した紙は、大切に保管すると同時に、年に1度は内容を見直して更新しましょう。パスワードを変更したまま更新を忘れると、せっかくの記録が役に立たなくなります。
エンディングノートへのデジタル情報記載例
エンディングノート(自分の情報や希望をまとめるノート)にデジタル情報を書き残す際は、以下のような形式が参考になります。
【デジタル情報メモ】
スマホ
- 機種:○○(iPhone 15など)
- 暗証番号(PIN):○○○○
- 保管場所:自宅金庫
ネット銀行
- 銀行名:○○銀行
- ログインID:○○○○
- パスワード:→ 自宅金庫の封筒に記載
SNS・メール
- LINE:アカウント削除を依頼(パスワードは封筒に記載)
- Facebook:追悼アカウント管理人は○○さんに設定済み
- メールアドレス:○○○@○○.com(パスワードは封筒に記載)
サブスクリプション
- Netflix:○○円/月(解約方法→アプリ内の設定から)
- Amazonプライム:○○円/年(解約方法→Amazonサイトのアカウント管理から)
写真・データ
- スマホの写真:iCloudに保存中(アカウントは封筒に記載)
- 写真の扱い:家族に渡してほしいものは「家族アルバム」フォルダに保存済み
その他希望
- SNSのアカウントはすべて削除してほしい
- データは確認後に処分してもらって構わない
このようにまとめておくことで、後を任せる人が迷わず対応できます。エンディングノートは市販品でも手書きのノートでも構いません。「デジタル情報」のページを1〜2ページ設けるだけで、大きな安心につながります。
まとめ
デジタル終活は、特別な知識がなくても、今日からすぐに始められます。
- 整理すべきデジタル資産は「スマホ・SNS・メール・ネット銀行・サブスク・写真」の6種類
- 各サービスのID・パスワードをエンディングノートや封筒に手書きで記録し、安全な場所に保管する
- Facebookは生前に「追悼アカウント管理人」を設定しておくと安心
- サブスクリプションは加入サービスを一覧にまとめ、解約方法も書き添えておく
- パスワードの記録は年に1度見直して更新する
おひとり様の場合、デジタル資産の情報を持っているのは自分だけ、ということがほとんどです。「誰かが気づいてくれるだろう」は通用しません。ぜひ今日、エンディングノートを開いて「デジタル情報ページ」をつくることから始めてみてください。