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遺言書・エンディングノート

おひとり様のエンディングノートの書き方|何を・どこに書けばいい?

エンディングノートに何を書けばいいか迷っていませんか?おひとり様が書いておくべき7つの項目と、書き方のコツをわかりやすく解説します。

エンディングノートは、おひとり様にとっての「もしものときの地図」

「エンディングノートって、子どもがいる人が家族に残すものでしょう?」——そう思っているおひとり様は少なくありません。

しかし実際は、おひとり様にこそエンディングノートが必要です。

家族がいれば、たとえ準備が不十分でも「あの人の預金はどの銀行だったかな」「かかりつけ医はどこだっけ」と、周囲の人がある程度の情報を持っていることがあります。ところがおひとり様の場合、死後や判断力が低下したときに動いてくれるのは、友人・知人、あるいは依頼した専門家です。その人たちは、あなたの日常の細かな情報を知らないまま動くことになります。

エンディングノートは、そうした「もしもの場面」で動いてくれる人への手がかりです。「私はこう生きてきた」「こう対処してほしい」という情報を書き残すことで、望んでいない形の対応を防ぐことができます。

ノートは市販のものでも、ノートや手帳に自分で書いても構いません。大切なのは「書いた内容が、もしものときに誰かの手に届く」状態にしておくことです。

エンディングノートと遺言書の違い

まず、混同されやすい「エンディングノート」と「遺言書」の違いを整理しておきましょう。

比較項目エンディングノート遺言書
法的効力なしあり
書き方自由厳密なルールあり
費用ほぼ無料種類によって数万円〜
財産の分配決められない決められる
目的情報・希望の整理財産の行き先を法的に確定

最も重要な違いは法的効力の有無です。

エンディングノートに「友人のAさんに全財産を譲りたい」と書いても、法律的には何の効力もありません。財産の分配に関しては、必ず遺言書を別途作成する必要があります。

一方で、「葬儀は家族葬でシンプルにしてほしい」「延命治療は希望しない」「ペットはBさんに引き取ってほしい」といった希望は、法律では決められない内容です。こういった気持ちや希望を伝えるのがエンディングノートの役割です。

エンディングノートと遺言書、どちらか一方ではなく、両方を用意するのが理想的な終活の形です。

おひとり様が書いておくべき7つの項目

エンディングノートに何を書けばいいか、具体的な7つの項目を解説します。一度に全部書こうとしなくて大丈夫です。気軽に書けるところから始めましょう。

1. 基本情報

氏名・生年月日・住所・マイナンバーカードの保管場所・免許証や保険証の情報など、自分の基本的なデータをまとめておきます。死亡届の記入や各種手続きを行う際に必要な情報です。

「住民票はどこに置いてあるか」「保険証の番号は何か」といった細かな情報が、死後事務を任せた人にとっての出発点になります。

2. 医療・介護に関する希望

かかりつけ医・持病・服薬中の薬・アレルギーの情報は、緊急入院時にすぐ必要になります。加えて「延命治療を望むか」「認知症になったときの介護方針」「どんな状態になったら施設入居を考えてほしいか」なども書いておくと、判断力が低下したときに周囲が動きやすくなります。

これらを「医療・ケアに関する意思表示」として別紙にまとめ、かかりつけ医や信頼できる人に渡しておく方法もあります。

3. 財産・保険に関する情報

預貯金口座(銀行名・支店・口座番号)・不動産・株式・生命保険・年金などの一覧です。特にネット銀行やネット証券は通帳がないため、存在を知らせておかないと相続時に見落とされるリスクがあります。

パスワードや暗証番号はノート本体には書かず、別の封筒に入れて「死後に開封」と明記しておくのが安全です。

4. デジタルアカウントの情報

スマートフォンのロック解除方法・SNSアカウント・メールアドレス・サブスクリプション(動画・音楽・ニュースなど)の一覧を書いておきます。

「死後に削除してほしいアカウント」と「残してほしいデータ」を分けて書いておくと、遺族や死後事務の受任者が迷わず動けます。

5. 葬儀・お墓に関する希望

「家族葬でいい」「宗教的な儀式は不要」「散骨を希望する」「納骨先はどこにしてほしい」など、具体的に書いておきましょう。

おひとり様の場合、葬儀を仕切る人がいないケースが多いため、あらかじめ葬儀社と事前相談・契約(生前契約)をしておく方法もあります。その場合はノートに「○○葬儀社と契約済み・連絡先は○○」と記載しておきます。

6. ペットに関する希望

ペットを飼っているおひとり様にとって、「自分が先に逝ったとき、ペットはどうなるか」は切実な問題です。

引き取りを頼める人がいる場合はその方の名前と連絡先を書き、あらかじめ本人に了承を得ておきましょう。引き取り手がいない場合は、ペットの里親マッチング団体や動物愛護施設への相談を事前にしておくことが望ましいです。その経緯もノートに記録しておきましょう。

7. 感謝の言葉・メッセージ

「こんなことを書いていいの?」と思うかもしれませんが、感謝の言葉やメッセージこそ、エンディングノートの大切な役割のひとつです。

お世話になった人への感謝・これまでの人生で大切にしてきたこと・自分の人生を振り返っての一言——形式は自由です。読んだ人が「この人らしい」と思える内容であれば、それで十分です。

書き方のコツ3つ

コツ1:完璧を目指さない

エンディングノートは「一度書いたら終わり」ではありません。また、全部の項目を埋めなくても問題ありません。「今日は基本情報だけ書く」「次は医療のページを書く」と少しずつ進める方が、長続きします。

白紙のまま放置するより、たとえ1ページでも書いてある状態のほうが、はるかに価値があります。

コツ2:年に1〜2回、定期的に見直す

生活状況・財産・人間関係は年々変わります。「去年書いた内容がもう古い」ということは珍しくありません。誕生日や年末年始など、決まったタイミングで見直す習慣をつけると管理しやすくなります。

古い内容は二重線で消して書き直す形で構いません。日付を書き添えておくと、最新の意思がどれかわかりやすくなります。

コツ3:保管場所を信頼できる人に伝えておく

どれだけ丁寧に書いても、もしものときに誰も場所を知らなければ意味がありません。「引き出しの中にある」「鍵のかかる棚にある」といった保管場所を、死後事務を任せた人・信頼できる友人・弁護士などに伝えておきましょう。

「死後に開封してください」と書いた封筒に入れ、弁護士や行政書士に預ける方法も安心です。

まとめ:まず1ページ、今日書いてみる

エンディングノートは、書き終わったときに完成するものではありません。書き始めた瞬間から、あなたと周囲の人の「もしも」への備えが始まります。

今日できることは、まず1ページ——名前と生年月日、かかりつけ医の名前だけでも書いてみましょう。それだけで、もしものときに動いてくれる人の負担が大きく変わります。

市販のエンディングノートが使いにくければ、普通のノートでも問題ありません。大切なのは「書いてある」こと、そして「誰かが見つけられる場所にある」ことです。

おひとり様の終活において、エンディングノートは最初の一歩であり、もっとも基本的な備えです。ぜひ今日から始めてみてください。

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